とと姉ちゃん|価格等統制令とは?森田屋や青柳商店を閉店に追込む!
朝ドラ『とと姉ちゃん』では、深川編がいよいよ終焉に
向かうことになります。
この深川編では小橋家と森田屋の面々の出会いや君子と青柳滝子の和解など、
多くのエピソードが描かれてきました。
常子もタイピストとして働きはじめましたし、鞠子も無事に帝都女子大学に
合格。
何もかもが順調のように思われる小橋家や森田屋、青柳商店ですが、
残念ながら今後は戦時色が強くなっていき、暗転していくことになります。
そして森田屋や青柳商店の閉店の遠因となるのが、価格等統制令です。
これはどのような内容だったのでしょうか?
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価格等統制令とは? 森田屋や青柳商店を閉店に追込む!
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価格等統制令とは昭和14年(1939年)10月18日に公布された勅令です。
その内容は同年の9月18日の価格をもって販売価格の上限とし(9・18売価停止令)、
ほとんどの商品はそれ以上の価格で販売(値上げ)することを禁じられました。
この価格等統制令が公布された背景には、日中戦争の長期化による
物資や食料の不足・欠乏、そして同年9月に第二次世界大戦
がはじまったことが挙げられます。
ただでさえ戦争の長期化により物資不足が目立ってきた中での
第二次世界大戦の勃発です。
政府は極度のインフレを抑え国民生活を守るために、商品や物資の値上げを
禁じたというわけです。
この価格等統制令は当初は1年間の期間限定でしたが、
さらに1年間延長されるなどして、結局は終戦まで実効していました。
この価格等統制令により、いきなり大きな打撃を受けるのが森田屋です。
周知のとおり森田屋は弁当などの仕出し屋ですが、上記のように
今後は商品の値上げができなくなってしまいます。
他方で肉類や野菜類、魚介類などの生鮮食品は価格等統制令の例外とされ、
値上げも可能でした。
さらには統制令が発令された直後は、パニック的にこれらの
除外品の価格が高騰してしまいます。
つまり森田屋は仕入れの価格が異常に高騰しているにも関わらず、
商品の値上げができないという負のスパイラルに陥ってしまいます。
しかもその後はさらなる物資不足のために、材料の仕入れ自体ができない状況
に陥ります。
そのため森田屋の経営状態は著しく悪化してしまい、森田屋は深川の店をたたんで、
食糧事情がよく軍需景気に沸く、群馬県の高崎市へ移転することになります。
これは昭和15年(1940年)の暮れで、価格等統制令の発布から1年後の出来事です。
これにより小橋一家と森田屋の面々は、別れを迎えることになります。
そして価格等統制令の影響は、青柳商店にも及びます。
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実は価格等統制令の目的は物価の上昇を抑え、国民生活を守るものでしたが、
逆に闇市や闇市場を生み出してしまい、物価はさらに高騰して完全な失政に終わります。
ただでさえ物資不足ですから、表の安価で売らなくとも、闇では高値で売れますから、
商品は次々に闇市場に流れていったのです。
(闇市)
そのため青柳商店も良質の木材の入手が困難になり、規模を縮小して
営業せざるを得なくなります。
そして別の記事でも書きましたが、昭和16年(1941年)の木材配給制が
青柳商店にさらなる追討ちをかけることになります。
これにより材木問屋の個人営業は禁止され、完全に国の統制下に入ることが決まり、
深川の材木商の組合も解散することになります。
いったんは国の統制下で営業することを決める滝子でしたが、最終的には
質の悪い木材を使うことは晩節を汚すと判断し、
200年続いた青柳商店の閉店を決めます。
このように森田屋や青柳商店は、ともに深川の店をたたむことになりますが、
その遠因になったのが今回の価格等統制令というわけです。
朝ドラには戦争の悲劇がつきものですが、まずは手はじめに森田屋と青柳商店が
潰されてしまうようです(森田屋は高崎で存続)。
さらなる悲劇もありそうで心配ですが、戦争ばかりはいかんともし難いですし、
悲しいですね…
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