とと姉ちゃん|常子がビアホールに行くのはアリ?戦前女性の飲酒事情
朝ドラ『とと姉ちゃん』では、常子はかをるに誘われてビアホール
へと出かけます。
しかしそこで酔っ払いの男性客に絡まれ、果ては警察が出動するほどの
騒動となってしまいます。
この事件がきっかけになってかをるの裏切りもあり、
常子は鳥巣商事をクビになってしまいます。
かをるに相談を持ちかけられ渋々ビアホールに行った常子でしたので、
まさに災難ですね~
ところでこの描写で気になるのは、戦前に女性ふたりでビアホールに飲みに行くことは
アリなのか? ということです。
しかも時代は昭和15年(1940年)で物資不足が深刻化し、価格等統制令も
発布された後です。
このような時期に女性ふたりでビアホールに行くことは、現実的なのでしょうか?
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常子がビアホールに行くのはアリ? 戦前女性の飲酒事情!
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まずは時代背景から。
ビールも兵隊たちへの支給が優先され、昭和15年(1940年)10月には
価格統制の指定商品となり公定価格が定められます。
さらにそれよりもう少し早い同年6月に東京や横浜などの京浜地区では、
ビールの配給制がはじまっています。
ドラマの舞台は昭和15年10月ですから、その頃にはビアホールの数はかなり減っており、
開店前から長蛇の列ができることも珍しくない状況でした。
またドラマの場所は東京ですから、既にビールの配給制ははじまっており、
ビアホールでも配給切符がなければ飲むことができないという状況です。
ドラマではこのあたりは描かれていませんが、常子かかをるが配給切符
を持っていたのでしょうか?
次に戦前に女性ふたりでビアホールに飲みに行くことの現実性です。
やはり戦前までは女性がお酒を嗜むことは、一般的に「はしたない」と
考えられていました。
もちろん現代ではこのような風潮は理不尽極まりないことですが、
戦前までは男尊女卑色がかなり強かったので、このように捉えられていたようです。
また仮に女性が飲酒したとしても、男性の「許し」があることが前提で、
人前で女性が飲酒する場合は男性が同席することが一般的だったようです。
そのためやはり常子とかをるがふたりでビアホールに連れだって飲みに行くことは、
当時としては現実的ではなかったようです。
加えて、キリンビールのHPに昭和32年(1957年)の読売新聞の内容が要約
されていますが、こちらが興味深いです。
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当時のビアホールのマネージャーの談として、こうあります。
「戦前のビヤホールなどで女性同士で二、三人でも連れだって入ろうものなら、
お客さんはもちろん、従業員もびっくりして一斉に見つめたものです。
それが今では、時間によっては女性の方が多い時だってあるんですから、
そんなことを考えると今昔の感がします」
このマネジャーは昭和30年代のビアホールの女性事情が、
戦前とは比べものにならないほど変ったことを語っていますが、
やはり戦前に女性が連れだってビアホールに行くことは
当時の女性の飲酒事情からすれば、かなり特異なこと
と言っていいようですね。
しかも時は物資が不足が深刻化してきた昭和15年ですから、
そんな時代に女性が外で飲酒していることがわかれば、
批判の対象になりかねない時代です。
またネット上でも、戦時中に女性が外で飲酒するなどはもってのほか
などの記載もありました。
これらを総合すれば、やはり常子とかをるがその時期にビアホールでお酒を飲むことは
アリではなさそうですね…
不良少女のお竜は別として、タイピストとして真面目に勤務する
常子とかをるがふたりでビアホールに行くことはかなりの無理やり感
があるようです。
製作側としては、どうやらビアホールでの騒動によって常子が会社をクビになることや、
志田未来さん演じるお竜との出会いを描きたかったようですが、
この点はリサーチ不足のように感じます。
かなり時勢とかけ離れてしまっていることから、このあたりは残念に感じてなりません。
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