とと姉ちゃん|戦前の検閲制度とは?恐るべき出版規制!
朝ドラ『とと姉ちゃん』では甲東出版に面接に行った常子は、
編集者の五反田一郎(及川光博)に有無を言わせずに倉庫に連れて行かれます。
そこで常子が目にするのは数百冊もの雑誌の山。
そして常子は五反田に促され、雑誌の中の検閲に引っかかったページの切取りを
することになります。
これが常子の甲東出版での初仕事となりますが、人手不足だった甲東出版は
常子を即日採用することになります。
再就職が難航していた常子でしたが、呆気ない形で採用が決まりましたし、
いよいよ自身のライフワークともなる出版業界に足を踏み入れました。
ドラマもようやくこれからが本番といった感じになってきましたので、楽しみです♪
ところで当時の検閲制度は、どのようなものだったのでしょうか?
日本国憲法が第21条で表現の自由を定めるとともに、
検閲の禁止を定めていることから気になります。
(戦前の特高警察)
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戦前の検閲制度とは? 恐るべき出版規制!
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検閲とは国家機関などの公権力が、出版物などの表現物や言論を精査し、
不適格とするものを取り締まる行為です。
前記の日本国憲法が検閲の禁止を定めていることから、現代では認められていませんが、
戦前では当たり前のような制度でした。
戦前の出版物の検閲については出版法が定めており、それによれば
出版物を刊行する場合は、出版届と出版物の製本をそれぞれ2部ずつ
(昭和9年までは1部ずつ)、発行の日の三日前までに内務省に届け出を
しなければなりませんでした。
現代ではあり得ないようなこの制度ですが、戦前は本や雑誌などを刊行する場合には、
届け出と見本を政府機関に送って審査を経なければ発売することはできなかったのです。
この制度によりすべての出版物は国家機関の審査がなければ発表できないことになり、
表現の自由も大幅に制限されていたことになります。
検閲で違反があった場合はどうなるの?
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検閲で出版法違反が認められると、大まかには①発禁処分②削除処分の
2つの処分のどちらかを受けることになります。
そして②の削除処分に該当した場合には当該箇所を削除すれば、
その表現物の発表は可能でした。
また違反した出版社や出版人につきましては、罰金や禁固刑といった
刑罰もありました。
ドラマでは常子と五反田は検閲で引っかかった雑誌のページの切取りをしている
ことから、②の削除処分を受けたということですね。
ちなみにどのようなものが検閲の末に出版法違反とされたかと言えば、
天皇や皇室の冒涜や共産主義の扇動、テロや植民地の独立の扇動、
軍事上の機密事項などやエロです。
ただし「公共の安寧」など抽象的な文言によったので、共産主義者や社会主義者などの
反体制思想の持ち主への弾圧など、当局の恣意的な適用があった面は否めません。
このあたりは戦時中の特高警察が、左翼などの弾圧のために出版法を用いたこと
などにも窺えます。
このように一連の出版物への検閲や出版法違反による処分などは、
およそ現代社会では考えられないような言論への弾圧ですが、
それがこの時期には普通にまかり通っていたことには恐ろしさを感じますね。
出版業界に足を踏み入れた常子ですが、戦争が終わるまでは
まだまだ苦労も絶えないようです。
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