とと姉ちゃん|やはり大日本婦人会が登場!史実上のおかしな点とは?
朝ドラ『とと姉ちゃん』では、徐々に戦時下の色合いも強くなってきました。
常子が甲東出版に再就職したのは昭和16年(1941年)で、
日中戦争の長期化・泥沼化はもちろんのこと、
この年の12月には太平洋戦争へと突入していきます。
そのためドラマの主要登場人物たちも、数多くが徴兵されて
出征することになりますので心配ですね~
ところで戦時色が強まった象徴のように、さっそく登場したのが
大日本婦人会の人びと。
化粧をしていた女性を道端で叱ったと思えば、常子に対しても
若い女性が道の真ん中を歩くなと指導しました。
太平洋戦争を描く朝ドラにはお約束のように登場する大日本婦人会ですが、
「カーネーション」や「花子とアン」などにも描かれていましたね。
ところで、そもそもこの大日本婦人会とはどのような団体だったのでしょうか?
今回の朝ドラでは史実上、辻褄のつかないおかしな点もあり、
そちらと併せてご紹介します。
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やはり大日本婦人会が登場! 史実上のおかしな点とは?
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大日本婦人会の前身となった国防婦人会は、昭和7年(1932年)に
満州事変が勃発した後に大阪で結成されました。
白の割ぽう着(エプロンの場合もあり)にたすき掛けの姿に象徴されるように、
会のスローガンは「国防は台所から」。
主な活動内容としては、出征する兵士たちの見送りや傷病兵や戦死者の遺骨出迎え、
慰問袋の調達や発送、防空演習など。
多くのドラマや映画などでは戦時中の負の象徴のように描かれる国防婦人会ですが、
出征した兵士の家族を支援したり防空訓練をおこなったりと、
それなりに評価される活動もおこなっていました。
ただし国が正式に認めた公的な団体ではなく、政府や軍部もその存在や
活動は認めたものの、過度の国防活動は期待してはいなかったといいます
(原則として婦人の第一の役割は家庭を守ることから)
とは言え、地域によってはこの国防婦人会は市井で隠然たる権力を持っていた
こともあり、婦人会と対立したことにより「非国民」扱いされたケースも
あったようです。
また婦人会の主たる目的は「国防」ですが、これがいかんせん曖昧であることから、
ドラマで描かれたように化粧をしている女性を叱ったり、
道の真ん中を歩いた常子を注意したりと、ともすれば暴走とも言えるような行為に
及んだケースも少なくなさそうですね…
どうやらこれらの婦人会の負の面が、イメージの悪さにつながったようです。
ドラマの大日本婦人会の史実上のおかしな点とは?
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前記の国防婦人会が、同じような活動をしていた愛国婦人会や
大日本連合婦人会と統合され、大日本婦人会となったのは
太平洋戦争開戦後の昭和17年(1942年)のことです。
そしてドラマで大日本婦人会のメンバーが描かれたのは昭和16年で、
当時はまだ太平洋戦争もはじまっていません。
とすればドラマの舞台となっている昭和16年には大日本婦人会は結成されておらず、
本来なら国防婦人会や愛国婦人会でなければなりません。
このあたりの時代考証はどうなっていたのでしょうね~容易に突っ込まれそうな
気もしますが…どうしてもこの時期に登場させたかったのでしょうか?
このように朝ドラではお馴染の大日本婦人会ですが、太平洋戦争が始まる前に
登場することは史実面からあり得ないことなのです。
前記のように負のイメージの強い大日本婦人会ですが、たとえば遊女たちも
白の割ぽう着にたすき掛けをすれば対等にメンバーとして受け入れられたといいます。
このあたりはかの平塚らいてうらも一定の評価を与えているところで、
決して負の面ばかりの団体ではなかったのです。
このような大日本婦人会ですが、史実面を含めてしっかりと描いてほしかったところです。
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