とと姉ちゃん|谷誠治は逮捕され雑誌は回収される!史実上の疑問も

 

朝ドラ『とと姉ちゃん』では、常子は雑誌の企画に「ユーモア特集」を

ひねり出しました。

 

男女が平等に働くことができる甲東出版での仕事に喜びを感じながらも、

初めての雑誌の企画に悪戦苦闘した常子でした。

 

しかし青柳商店の隈井が手作りの玩具で子どもたちを喜ばす様子を見て、

こんな時勢でも読者を笑わせる企画を思いつきます。

 

常子のこの企画は編集部員たちにもウケて、正式に雑誌に掲載されることになります。

 

自分の企画が印刷物になることに喜びを感じる常子でしたが、

これがもとで社長兼編集長の谷誠治が逮捕され、雑誌も回収されるという

思いもよらぬ事態を引き起こしてしまいます!

 

内務省

(旧内務省)

 

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谷誠治が逮捕され雑誌は回収される! 史実上の疑問も

 

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常子の「ユーモア企画」でしたが、これが戦時下では不謹慎ということで

検閲に引っかかって、社長の谷が逮捕されてしまうことになります。

 

別の記事でも書きましたが、当時の出版法はすべての印刷物につき、

発行前に内務省の検閲を受けることを義務付けていました。

 

そのため甲東出版の雑誌もこの内務省の検閲に抵触したということですね。

 

しかしこれにより谷が検挙・逮捕されることには疑問があります。

 

というのも、当時の検閲の結果、出版法などで逮捕されるのは、主に皇室の冒涜や

社会主義者などの重大な違反に限られていました。

 

この逮捕には悪名高き特高警察も関わっていましたが、単に不謹慎というだけでは

めったに逮捕されません。

 

ましてや常子の企画は決して皇室の冒涜や国家の転覆を図るようなものではなく、

現代風に言えば「お笑い」の企画です。

 

さすがに当時でもこの程度で逮捕されることはあり得ません。

 

もし谷が逮捕されるのであれば、公務執行妨害的な要素暴言を吐くなど

しなければならないように思えます。

 

そして谷の逮捕により、五反田一郎が中心となり雑誌の回収を図ることになります。

 

つまり検閲で違反が見つかった雑誌が既に市中に出回っていることから、

広告主に迷惑が及ばないために回収するというもの。

 

こちらの顛末は現時点では不明ですが、史実上は谷の逮捕以上に疑問が生じます。

 

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と言いますのも検閲に抵触した場合には、当該印刷物は発売禁止処分または削除処分

(抵触した箇所を削除すれば発表は可能)のいずれかの処分を受けることになります。

 

しかし出版物を印刷してからこの処分を受けることは、多大な損害も生じますので、

多くの場合は内務省の検閲の結果を確認してから印刷するのが常でした。

 

さらには内務省は膨大な印刷物の検閲をする必要があり、時間もかかることから、

便宜的な「内閲」という制度もありました。

 

そのため印刷物は少なくとも内閲をパスした後でなければ印刷はしないことが多く、

ドラマのように市中に出回った後に回収するというケースはほとんど考えられません。

 

内閲にパスした後に、本番である検閲に引っかかるケースもありましたが、

これは非常に稀なケース。

 

しかも前記のように常子の企画はユーモアが不謹慎というだけですから、

違反の程度も大きくありません。

 

このように史実面から考えれば、ちょっとおかしい谷の逮捕や雑誌の回収ですが、

ドラマでは常子は責任を感じるようですね。

 

いきなりのヒット企画と思いきや、まさかの谷の逮捕に雑誌の回収ですから、

その落ち込みようなどもわかる気がします。

 

常子にはこれに懲りずに、出版業界でまい進してほしいところです!

 

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