とと姉ちゃん|台所特集のモデルはキッチンの研究!シルバークイーンとは
朝ドラ『とと姉ちゃん』は高度経済成長期編に突入し、あなたの暮し出版にも
多くの面々が増えました。
雑誌の発行部数も安定し経営も順調ですが、そんな現状に満足しない
編集長の花山伊佐次が提案した新企画は「台所の特集」です。
そのため社長の常子も先頭に立って、各住宅の台所の取材に駆け回ることになります。
この「台所特集」のモデルとなったのが、「暮しの手帖」の人気特集だった
「キッチンの研究」です。
コンテンツ
台所特集のモデルはキッチンの研究!シルバークイーンとは?
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ドラマの「台所特集」のモデルとなった「暮しの手帖」の
「キッチンの研究」は、昭和29年(1954年)の第25号からはじまった企画です。
戦前からの日本家屋の台所は主に住居の北側に配置されて、
作りも粗末なものが多く、狭いのも特徴でした。
欧米の家屋などが広々したキッチンを備えていたのとは対照的で、
お世辞にも使い勝手がよいなど言えません。
そのため大橋鎭子と花森安治は、これからの時代は台所や茶の間こそ
住む人の大切な場所になるべきと考えて、この特集をはじめます。
この特集では実際に庶民の家の台所を紹介して、よい点と悪い点を指摘し、
どうしたら使い勝手もよくなるかを徹底的に研究しました。
そしてたくさんの台所の実例を収集するのは、鎭子の担当でした。
鎭子はいきなり他人のお宅を訪ねて「台所を見せてくれ」と言っても
断られるのはわかっていましたので、近所のお宅の住所を尋ねるフリをして
住人と接触し、話しが盛り上がったら「いい台所ですね~」と切り出す
作戦に出ました。
ドラマでもこのエピソードを用いた描写もありましたが、
このあたりは彼女の上手なところです。
この点については本人も「勇敢というか、猪突猛進というか、厚かましいというか…」
と語っています。
で、様々なお宅の台所を紹介して、具体的な改善点などを提案したこの特集は
主婦の心を掴んで人気企画となって、およそ10年も続きました。
しかもその極めつけは、最終回に掲載したシルバークイーンです。
シルバークイーンとは?
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鎭子や花森は「キッチンの研究」の連載を重ねるうちに、当時主流だった
ブリキのシンクは錆びやすく、ステンレス製のシンクが最適であるとの結論に
たどり着きます。
しかし当時はステンレス製のシンクを備えたシステムキッチンは
ほとんど出回っていませんでした。
そのためメーカーの日本冶金工業と共同開発して、
「シルバークイーン」というシステムキッチンを作ってしまったのです!!
(シルバークイーン)
現在のシステムキッチンはステンレス製がほとんどですが、
そのきっかけを作ったのが「暮しの手帖」だったのでした。
シルバークイーンはステンレス製だけではなく、これまでのキッチンの研究で得た
様々な工夫も取り入れられました。
たとえばバラバラだった流し台や調理台、コンロのつなぎ目をなくして一体化したり、
高さを調節する機能がついていたり、幅ももっとも使いやすいという結論が出た
一間にしたり…
このように「キッチンの研究」の成果が随所に盛り込まれたこのシルバークイーンでしたが、
何と2万円という安さで売り出されました。
当時のシステムキッチンは3~4万円くらいのものが主流でしたし、
最新のステンレス製にも関わらずこの金額設定でしたので、大ヒット製品となりました。
台所の研究からはじまって、最終的には自分たちで理想のシステムキッチンを
作ってしまうあたりは、雑誌の内容にこだわった鎭子や花森らしいエピソードですね。
しかもできるだけ販売価格も安価に設定するあたりは、
心から庶民生活の向上を願ったのでしょう。
このようにドラマの「台所特集」も、そのベースになっている史実は
なかなかのものです。
ドラマでもどのように展開されるかは楽しみですね!
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