べっぴんさん|潔の逮捕は実話!尾上清の横流し事件とは?

 

朝ドラ『べっぴんさん』では、野上潔(高良健吾)が闇市での

商売の最中に警察に逮捕されてしまいます。

 

奇しくもその日はすみれたちのベビーショップあさやの開店の日で、

すみれは気が気でないまま開店を迎えることになります。

 

結局潔は嫌疑不十分で釈放されることになりますが、取り調べ中に

警察官に刃向かったため、かなり殴られてあざだらけになってしまいます。

 

とにもかくにも釈放されたことで妻のゆりも胸をなでおろしますが、

当時の闇市はいつ逮捕されてもおかしくないような危険とは背中合わせでした。

 

ところでこの潔の逮捕は、モデルとなった尾上清の隠匿物資の横流し事件

モチーフにしています。

 

しかもその内容はあまりにスケールが大きく驚きです!

 

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潔の逮捕は実話!尾上清の横流し事件とは?

 

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昭和20年(1945年)に尾上清は復員しますが、その頃には既に

佐々木営業部(坂東営業部のモデル)は江商(現兼松)に吸収されて

消滅していました。

 

しかし佐々木営業部時代に入社からわずか3年で取締役に

出世するほどの商才を持った彼は、江商の衣料品部長に採用されます。

 

ところが昭和21年(1946年)に彼は5億円相当もの隠匿物資を

闇市に横流しした容疑で、大阪府警に拘留されてしまいます。

 

実は当時の彼は個人的に有信実業という会社を設立しており、

各自治体に放置されていた隠匿物資を闇に流して売りさばいていたのです。

 

そう聞くととても悪い人物のように思えますが、驚くべきは

それらで得た利益を貧しい人々に与えており

決して私腹を肥やしていたわけではなかったのです。

 

当時は未曾有の戦後インフレーションが国民に襲いかかり、

物資や食糧の値段は天井知らずに上昇していきました。

 

さらに悪いことに配給の遅配も生じて、餓死者も出るほどに

状況は深刻になっていました。

 

正義感が強かった清は独自のルートで隠匿物資を探し出して闇で売却し、

無数ともいえる人々に利益を分け与えていたのです。

 

当時の5億円というのは国家予算レベルの金額ですから、

彼によって命を救われた人の数は数え切れないほどいたはずです。

 

で、大阪府警に身柄を拘留された彼でしたが、何と無事に釈放

されました。

 

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そのきっかけになったのは当時の大阪府警の小倉巡査が、

「尾上曹長に限ってあり得ない」と上司の刑事部長に直談判したからです。

 

この小倉巡査は清の軍隊時代の部下で、不幸にも肺結核を患う

ことになりましたが、その際に清は何と1万円という大金を小倉に送って

支援したのです。

 

その破天荒さと人情の厚さで知られた清ですが、人望が厚かった

彼らしいエピソードですね。

 

そして府警の刑事部長が調査に乗り出したところ、

多くの人々が彼のおかげで助かったという証言をしました。

 

このように実際に物資の横流しはしていたものの、

決して私腹を肥やしたわけでなかったですし、

多くの人びとを救っていたから彼は釈放されて罪にも問われなかった

のでしょう。

 

当時のマスコミも5億円という金額の大きさからその事件を報じましたが、

後に清はその正義感や義侠心から「鼠小僧」とあだ名されるようになった

といいます。

 

後にレナウンの社長となって、「アパレル界の首領(ドン)」と

呼ばれることになる尾上清は、このように信じられないほど

スケールの大きな人物だったのです。

 

ドラマでは高良健吾さんが演じる野上潔がにも注目したいところですね!

 

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