ひよっこ|向島電機の倒産の理由や原因!なぜ高度経済成長期に?
朝ドラ『ひよっこ』では、ドラマの舞台は奥茨城村から
東京の向島電機へと移ります。
同社は大手電機メーカーのアポロン電機の下請け企業で、
みね子たちはトランジスタラジオの組立てに従事することになります。
慣れない流れ作業や生来の不器用などもありかなり苦戦しますが、
向島電機での彼女の奮闘に期待です♪
しかしそんな向島電機は昭和40年(1965年)の暮れに倒産してしまい、
乙女寮や工場は閉鎖の運命を辿ってしまいます。
時代は右肩上がりの経済成長を遂げていた高度経済成長期の真っただ中
でしたが、なぜ向島電機は倒産してしまうのでしょうか?
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向島電機の倒産の理由や原因!なぜ高度経済成長期に?
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向島電機が倒産してしまうのは、 「昭和40年不況」
(証券不況、オリンピック不況などとも言う)の直撃を受けてしまうからです。
前記の通り高度経済成長期は日本は右肩上がりの経済成長を続け、
東京オリンピックが開催された昭和39年(1964年)には先進国の
仲間入りも果たしました。
ところが昭和40年だけはこの高度経済成長期の例外的な年で、
不況により多くの企業が倒産しています。
まず参考までに高度経済成長期のGNP(国民総生産)の実質成長率は
以下のようでした。
昭和35年(1960年) 14.1%
昭和36年(1961年) 15.6%
昭和37年(1962年) 6.4%
昭和38年(1963年) 10.6%
昭和39年(1964年) 13.3%
昭和40年(1965年) 4.4%
昭和41年(1966年) 10.0%
昭和42年(1967年) 13.1%
昭和43年(1968年) 14.3%
昭和44年(1969年) 12.1%
数字を見ても、昭和40年が一時的に落ち込んでいるのがわかります。
この年になにがあったかと言いますと、大きかったのはオリンピック景気
による特需の反動で、需要が一気に落ち込んだことです。
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昭和39年の東京オリンピックの国家予算は1兆円にも達しました。
その年の国家予算の総額が3兆2554億円であることに鑑みれば、
なんと3分の1程度の予算をインフラ整備や運営費に充てています。
大会の運営費、会場の施設建設費はもちろん、東海道新幹線や首都高速道路、
東名・名神高速道路、都内の地下鉄など、オリンピックに合わせて
建設されています。
これだけの予算を国が使えば好況に沸きますが、その反動も大きくなります。
東京オリンピックの前年の昭和38年には企業の倒産数は1738件で
負債総額1695億円だったのが、開催年の昭和39年には4212件4631億円に
膨れ上がり、昭和40年には6141件5624億円にも達します。
そのため昭和39年にはシステムキッチン大手のサンウエーブ、
鉄鋼大手の日本特殊鋼(現大同特殊鋼)が、翌40年には山陽特殊製鋼が
倒産に追い込まれています。
証券市場も大打撃を受けて、大手の山一證券の倒産の噂が流れたため、
取り付け騒動なども起こって、この昭和40年不況はかなりの混乱も招きました。
株価も一時は1000円を切る目前まできましたが、11月に政府が赤字国債を発行
したことで「いざなぎ景気」が起こり、昭和40年不況は終息を迎えます。
そのため翌年からは再び高度経済成長期は続くのですが、
この昭和40年だけは特別な年になりました。
ドラマの向島電機もこの昭和40年不況に巻き込まれて、
倒産となってしまいます。
この年の4月に同社に就職したみね子や時子でしたが、
わずか8カ月間のみの勤務となります。
せっかくかけがいのない仲間になった乙女寮のメンバーたちですが、
足早に別れは訪れるようです。
とは言え、それまでの彼女たちの奮闘にも期待しましょう♪
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