まんぷく|萬平の脱税逮捕がおかしいのはココ!実話との比較も
朝ドラ『まんぷく』では、萬平が脱税で逮捕されて重労働4年の刑を科されて軍刑務所に収監されてしまいました。
その上で高額の7万円もの罰金の支払いを請求されて、ダネイホンの販売権とたちばな栄養食品東京支社が売却することになってしまいました。
しかも悲劇はそればかりではなく、東京財務局が脱税の追徴分として10万円もの支払いを要求してきました。
そのためダネイホンを世に残すために、萬平は弁護士の東のアドバイスに従って、たちばな栄養食品本社とダネイホンの製造法や商標など、すべてを売り払うことになります。
ダネイホンのよさが全国に知れ渡り、会社の経営も軌道に乗った矢先にこれほどまでもの悲劇が降りかかって、たちばな栄養食品は解散の運命を辿ります。
とは言え、よくよく考えてみたら、そもそも萬平の逮捕も「見せしめ」という信じられないものでしたし、度重なる罰金や追徴課税も高すぎるので本当なの? といった感じですよね~
今回はこのあたりを安藤百福の実話と比較して考察してみます。
コンテンツ
萬平の脱税逮捕がおかしいのはココ!実話との比較も~①
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まずもっともおかしいと思われるのが、萬平が従業員たちに渡していた奨学金が給与とみなされて所得税法違反に問われる点です。
当時も今も奨学金は非課税で、これが給与とみなされることはありません。
実話の安藤百福は従業員に渡していた小遣いが給与とみなされて逮捕されており、奨学金ではありませんでした。
しかしこのあたりは製作サイドもストーリーに織り込み済みで、後に弁護士の東太一がこのことに気づいて、世良とともに東京や大阪の新聞社にリークして全国的な反税運動が起こることになります。
またその辻褄合わせとして、税務局のバックには進駐軍がおり、進駐軍はあくまでも日本の法律は適用外だと考えている可能性をドラマの中で匂わせています。
このあたりは凝った作りになっていますが、駆け出しとは言え弁護士の東がこれに気づくのは萬平が収監されてから2年後のことですから、ちょっと遅すぎますよね?
東は開業2年目の新米弁護士ですが、東京帝国大学を首席で卒業しているという設定のため、このあたりはツッコミたくなるところでしょう。
なお萬平が脱税防止キャンペーンのための「見せしめ」とされた点は安藤百福と同じです。
他の記事でもご紹介しましたが、百福の塩田事業は採算性がなく、もっぱら失業している若者に対しての支援事業だったことから、そんな彼らへの小遣いを「給与」とみなした当局の行為は理不尽極まりないものでした。
実際に百福は重労働4年の実刑判決を受けていますが、収監された巣鴨プリズンでは重労働は一切していません(このあたりも「見せしめ」の根拠にあたるはずです)
萬平の脱税逮捕がおかしいのはココ!実話との比較も~②
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次におかしいと思われるのは、7万円や10万円という高額の罰金や追徴課税です。
そもそも脱税した金額は明らかにされていませんが、5名の若手社員を夜学に通わせるために出していた奨学金の所得税納付分ということになります。
さらにドラマでは萬平は1年分をまとめて渡していたから高額になったとの辻褄合わせがされています。
この「夜学」が夜間高校か夜間大学かも不明ですが、定時制高校であればその場合は授業料などはたいした額にはなりません。
仮に「夜学」が大学の夜間部だとしても、昭和25年(1950年)の私立大学の年間費用は平均で1.1万円程度でした(ドラマの舞台は昭和22年ですが)
しかもこの金額には全日制の大学も多く含まれていることから、大学の夜間部ではかなりこの額を下回るはずです。
まぁ~仮に従業員1人頭1.1万円の費用がかかるとしても、5名で年間5.5万円です。
所得税率は年収によって変わりますし当時の税率も不明ですが、現在でもMAX45%です。
仮に萬平がMAXの税率の適用を受けるお金持ちだとしても、所得税分はおよそ2.5万円弱です。
萬平が富裕層と仮定した場合でも、脱税分は2.5万円程度ということになります。
そして罰金に関しましてはその10~20%程度になりますから、MAXで5000円程度で、脱税分を大きく上回る7万円というのはとうてい考えられません。
また追徴課税も当初の所得税に重加算税が課せられてもMAXで40%程度ですから、脱税分のおよそ4倍の10万円なんてことはあり得ません。
しかもこれらは「夜学」の費用を全日制の私立大学に近いもの、萬平を富裕層と仮定してのことですから、なおさら現実的ではありません。
やはり会社を売らなければならないほどの金額の罰金や追徴課税には、かなり無理があると言わざるを得ません。
また実話の安藤百福ですが、脱税での逮捕の際に大阪財務局に大阪に所有していた不動産すべてと泉大津の塩田施設を没収されています。
泉大津の物件はそもそも市から無償貸与されたものですが、当時の彼は心斎橋や御堂筋、大阪駅前などの一等地の物件を持っていました。
大阪財務局のおこなった没収は罰金と追徴課税分の物納ですから、金額もかなりのものとなったはずです(ただし当時の大阪は復興途上で一等地の不動産価格も現在ほどではなかった)
その理由は百福の塩田の従業員が100名を超えていたからです。
ドラマでは元塩軍団の従業員は15名ですが、実話はかなりの大所帯だったため、小遣いとして渡していた金額もトータルではかなりの高額に上った模様です。
長々となりましたが、やはりドラマの萬平の逮捕や罰金プラス追徴課税は「おかしい」と感じるのが普通のようです。
とは言え、山あり谷ありのほうがドラマは盛り上がりますし、製作側も無理は承知でこのような作りにしたはずです。
いずれにしてもこの窮地を萬平や福子らがどのように切り抜けるかに注目ですね♪
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