あさが来た|ラサール石井の萬谷のあさ襲撃事件は本当?万屋襲撃事件
朝ドラ『あさが来た』には、ラサール石井さん演じる萬谷が登場します。
萬谷は加野銀行の客ですが決していい客ではなく、それどころかあさを襲撃して
加野屋に禍をもたらします。
この襲撃事件は原案本の「土佐堀川」にも描写があり、同じ両替商だった万屋が
広岡浅子を逆恨みして犯行に及ぶ事件です。
この事件によって浅子はかなりの重傷を負い、生死の境を彷徨うことになりますが、
何とか生還します。
かなりショッキングな事件ですが、死にそうな思いをした浅子はこれにより
生命保険会社のアイデアが生まれ、その結果加島屋は生命保険業に乗り出すという
大きなポイントにもなっています。
このような経緯をモチーフにしている萬谷によるあさ襲撃事件ですが、
そもそもこの事件は本当にあったのでしょうか?
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ラサール石井の萬谷のあさ襲撃事件は本当?万屋襲撃事件
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ドラマの萬谷による襲撃事件のベースになっている万屋襲撃事件ですが、
どこを探しても資料や記録がありません。
「土佐堀川」で描かれているこの事件は、明治34年(1901年)の
大阪金融恐慌の直後ですから、この頃には浅子もひとかどの女性実業家として
世間に認められていたころです。
また浅子の加島屋は大阪でも老舗の両替商でしたし、浅子は三井財閥とも
太いパイプがあります。
そんな女性実業家が襲撃されたら、新聞などでも大きく取り上げられるはずですから、
何らかの資料は残るのが自然ですよね~
ところがこの万屋襲撃事件に関しては、まったくと言っていいほど
歴史的な資料や記録がありません。
とすれば、この万屋襲撃事件は「土佐堀川」の作者である古川智映子氏による
創作の可能性が高いですね。
ドラマでは「土佐堀川」に沿って描かれることになりそうですね~
なのでラサール石井さん演じる萬谷に襲撃されたあさは生死の境を彷徨うも
奇跡的に生還、そして生命保険会社のアイデアを思いつき実現させていく
という流れになりそうです。
実際に加島屋の生命保険業への進出はどうだったの?
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万屋襲撃事件が創作だったとすれば、次に疑問に思われるのが、
加野屋のモデルの加島屋が生命保険業に進出した経緯はどうだった?
ということです。
この点に関してはやはり明治27年(1894年)に勃発した日清戦争を境に、
生命保険のブームが起こりますから、加島屋もそれに乗ったというのが
有力だと思います。
以前の記事にも書きましたが、日清戦争前までは当時の日本の庶民に
生命保険は浸透していませんでした。
ところが日清戦争の戦没者のうち、生命保険に加入していた者の遺族には
保険金が支払われたことから、一躍生命保険がクローズアップされていきます。
そのため日清戦争を境に生命保険会社の数も増えていくことになり、
広岡浅子の加島屋も明治32年(1899年)に経営不振に陥っていた
真宗生命の営業譲渡を受けて、生命保険業に進出します。
加島屋の生命保険業の業績は今ひとつでしたが、明治35年(1902年)の
同業三社の合併により大同生命を誕生させ、さらには明治37年(1904年)の
日露戦争の勃発が追い風となります。
そしてその後は周知のように、大同生命は生命保険業界の一大企業となっていきます。
史実上は万屋の襲撃事件はなかったようですが、このような経緯で
加島屋の生命保険業は発展を遂げたのです。
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